
交通事故を防ぐために知っておきたい
「ハインリッヒの法則」
私たちが日々運転する中で、「事故を起こさないこと」は非常に重要です。しかし、交通事故は突然発生するわけではなく、実はその背景には多くの小さなミスや危険な行動が積み重なっていることをご存知でしょうか?
今回は「ハインリッヒの法則」をもとに交通事故のリスクを減らすための考え方をご紹介します。
「ハインリッヒの法則」とは
ハインリッヒの法則は、アメリカの安全技師ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒによって提唱された労働災害に関する経験則です。
ハインリッヒの法則によると、「1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件のヒヤリ・ハット(事故には至らないものの危険な状況)が存在する」とされています。
これは、日常的な小さなミスや危険な行動が積み重なることで、大きな事故につながる可能性があることを示しています。ハインリッヒの法則は、労働災害だけでなく、交通事故や医療ミス、スポーツにおける怪我のリスク管理にも応用され、広く認知されています。
「バードの法則」との関係
ハインリッヒの法則を発展させたものに、「バードの法則」があります。バードの法則は、1960年代にフランク・バードが提唱したもので、ハインリッヒの法則をさらに細分化し、「1件の重大事故の背後には10件の軽微な事故、30件の物損事故、600件のヒヤリ・ハットが存在する」と「1:10:30:600」という比率で分類した法則です。このように、事故は単独で発生するのではなく、無数の小さなミスやトラブルの積み重ねによって引き起こされることが理解できます。
ハインリッヒの法則に物損事故が加えられたものであり、重大事故と軽微な事故を伴う事故の比率も若干異なりますが、重大事故の背景には事故には至らないものの危険な状況が存在するという考え方は変わりません。
交通事故における「ハインリッヒの法則」
交通事故をハインリッヒの法則を用いて当てはめて考えてみましょう。
【例1:車間距離不足による追突事故】
例えば、高速道路を走行中のドライバーが、十分な車間距離を取らずに前方車両に接近している状況を想定します。この場合、以下のようなヒヤリ・ハットが発生する可能性があります。
①車間距離が短いため、前の車が急ブレーキを踏むと対応が遅れる
②道路が濡れている場合、制動距離が伸びて追突のリスクが高まる
③スマートフォンを操作するなどのわずかな脇見運転が発生
④他の車両が突然割り込んできたとき、回避行動がとれない
これらの小さなリスクが積み重なることで、最終的には追突事故などの重大な事故へと発展する可能性があります。
【例2:信号無視による交差点事故】
交差点では、信号無視が重大事故につながることがあります。例えば、青信号に変わる直前に無理な発進をするケースを考えてみましょう。
①赤信号で完全に停止せず、じわじわと前に進む
②青信号に変わる前に発進し、右折車や横断歩道を歩行する歩行者に気づかない
③交差点内でスピードを上げ、他の車と追突する危険性が増す。
④歩行者が横断し始めていることに気づかず、急ブレーキをかけるが間に合わない。
このように、小さな違反が積み重なることで、信号無視による重大な事故へとつながる可能性があります。
「ドミノ理論」との関係
ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒは、「ドミノ理論」という概念も提唱しました。これは、事故が発生するまでの過程を説明する理論で、ドミノの倒れる連鎖に例えたものです。
例えば、先ほどの交通事故の例をドミノ理論で考えると、
【例1:車間距離不足による追突事故】
①環境要因(天候が悪い、交通量が多い)
②人的要因(運転手の注意不足、車間距離が短い)
③危険行動(スマートフォンを操作、わき見運転)
④ヒヤリ・ハット(前の車が急にブレーキを踏む)
⑤事故の発生(追突事故)
前述の通り、車間距離を適切に取ることは、交通事故を防ぐために非常に重要です。十分な車間距離があれば、前方車両が急ブレーキを踏んだ際にも余裕を持って対応することができます。また、雨天時や夜間走行時には、さらに車間距離を広げることが推奨されます。
【例2:信号無視による交差点事故】
①環境要因(交差点が混雑している、視界が悪い)
②人的要因(焦りによる無理な発進)
③危険行動(信号が青に変わる前に発進)
④ヒヤリ・ハット(右折車や歩行者の確認不足)
⑤事故の発生(交差点での追突事故)
このように、事故の発生は複数の要因が連鎖しているため、最初のドミノを倒さないようにすることが重要です。つまり、事故を未然に防ぐためには、初期段階のヒヤリ・ハットや軽微な違反行動を減らす努力が求められるといえます。
まとめ
いかがでしたか?
「ハインリッヒの法則」を理解することで、私たちは「小さなミスを軽視しないこと」の重要性を認識できます。特に交通事故においては、車間距離を適切に取ることや、ヒヤリ・ハットを放置せず対策を講じることが重大な事故を防ぐために不可欠です。
また、「ドミノ理論」を応用すれば、事故の連鎖を未然に断ち切ることができ、「バードの法則」を踏まえれば、より詳細なリスク管理が可能となります。
日々の運転でのちょっとした意識の違いが、大きな事故を防ぐ鍵となるのです。
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