
労働法の歴史とその成り立ち
労働法は、労働者の権利を保護し、公正な労働条件を確立するための法律体系として発展してきました。
その歴史は、産業革命の時代に遡り、資本主義の発展とともに急速に進化してきました。
今回は労働法がどのように生まれたか、その背景や種類についてご説明します。
労働法誕生の背景
労働法が誕生した背景には、産業革命に伴う社会構造の大きな変化があります。18世紀後半から19世紀初頭にかけて、イギリスを中心に行われた産業革命は、それまでの農業社会を一変させ、大量の労働力が工場に集約されるようになりました。しかし、当時の労働環境は極めて劣悪でした。
例えば、長時間労働や低賃金、児童労働が一般的でした。このような状況は、労働者の生活を著しく損ない、社会的な不安を引き起こしました。そのため、労働者を保護するための法的枠組みが必要となり、これが「労働法」の発展を促すきっかけとなったのです。
日本においても、労働法の発展は急速に進みました。その中心として、戦後の民主化プロセスがありました。特に、「マッカーサーの5大改革」の一環として、労働者の権利を明確にするための法整備が進められました。
第二次世界大戦後、日本は連合国軍の占領下に置かれました。この時期に行われた「マッカーサーの5大改革」は、
①女性の解放
②労働者の団結権の保障
③教育の民主化
④秘密警察制度の廃止
⑤経済の民主化
これらの5大改革を示します。
その中でも、労働者の権利に関する改革が大きな役割を果たしました。具体的には、
①労働組合の制定
労働者が団結し、交渉する権利を保障する
②労働基準法の制定
労働条件の最低基準を設定
③労働関係調整法の整備
労働争議を調整するための仕組みを構築
これらの改革は、労働者の生活向上だけでなく、民主主義の基盤を日本社会に根付かせることにも寄与しました。
労働法の種類とその役割
労働法の中でも基本となるのが、「労働基準法」、「労働組合法」、「労働関係調整法」で、これらの3つの法律を「労働三法」と呼んでいます。
①労働基準法
労働時間や賃金の支払い、休日など、労働条件の最低基準を定めた法律
②労働組合法
労働組合をつくり、会社と話し合いができることなどを保障した法律
③労働関係調整法
労働者と雇う側で争いごとが生じ、当事者同士の話し合いでは解決が難しい場合、外部の組織が間に入り、解決するための手続きを定めた法律
これらの法律は、労働市場の健全な運営を支える役割を果たします。
労働法の発展を支えた菅野和夫先生
労働法の発展には、理論的な基盤が不可欠です。その中でも、日本の労働法学に大きな影響を与えたのが、菅野和夫先生です。菅野和夫先生は、日本で第二次世界大戦後に本格的な研究が開始された労働法学を法律学として確立させるという大きな功績を上げました。
菅野和夫先生の著作は、労働法の体系を分かりやすく整理し、その理論と実践の橋渡しを行い、労働法学の基本書といえます。菅野和夫先生は民事法学・刑事法学の普遍的法理論との整合性に留意しつつ、労働関係の特質を踏まえた解釈論を展開した『争議行為と損害賠償』により、労働法学が法律学として成熟する転機をもたらせ、法律学としての労働法学を確立したといわれる『労働法』により多大な貢献をされました。
これらの多大な功績により、2024年度には文化功労者に選出されました。
参考:東京大学:菅野和夫 大学院法学政治学研究科・法学部 名誉教授
まとめ
いかがでしたか?
労働法は、労働者の権利を保護し、公正な労働環境を実現するための重要な法律体系です。
今後も労働法は、時代の変化に応じて進化し続けることで、すべての労働者が安心して働ける社会の実現に貢献していくことでしょう。
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