日本人として、人として誇りに思える存在、杉原千畝。

杉原千畝は20世紀の暗黒時代においてナチス・ドイツによるユダヤ人迫害から逃れるための日本のビザを数千人に提供した人道主義者として称賛される日本の外交官です。

その人道的な行動は、後世にも称賛され続けています。今回は杉原千畝の生涯の紹介と、杉原千畝の行動から博愛精神について考えていきます。

杉原千畝の生涯

杉原千畝は、1900年にごく一般的な家庭の中に生まれ育ちました。英語教師となる夢を目指し勉学に励みますが、生活が苦しくなり、公費で勉強ができる外交官留学生試験に猛勉強の末合格。そしてロシア語研修生として人生の方向転換をしました。

その後、ハルビンにてその能力を見込まれ、杉原千畝は外交官としての一歩を踏み出します。一方ヨーロッパではヒトラーによるナチの独裁が始まり、ユダヤ人の命が脅威にさらされはじめていました。

リトアニア・カウナスに日本領事館開設を命じられた杉原千畝は、同時にソ連からの情報を集めることを命ぜられました。戦争の激しくなったこの頃、ヒトラーによるユダヤ人迫害も厳しさを増し、彼らの受け入れ先はほとんど無くなってしまいました。

そして1940年、杉原千畝にある決断を迫られる出来事が起こりました。ナチスの目を盗んで逃げてきたユダヤ人たちが、ヨーロッパから逃れるために、日本への通過ビザを求め領事館に押しかけてきたのです。杉原千畝は日本の外務省にビザを出して良いか電報を送るものの、日本の外務省からの返答は、「正規の手続きができない者にビザを出してはいけない」というものでした。

ビザを発給してユダヤ人の命を救うべきか、命令に従って外交官としての輝かしい道を守るべきか。
杉原千畝は悩みに悩み、最終的にはユダヤ人の命を救う方を選びました。

1947年、帰国した杉原千畝は独断でビザを発給したことの責任により外務省を解職されてしまいました。

その後1986年、神奈川県鎌倉で生涯を閉じました。

参考：杉原千畝記念館 

杉原千畝の行動から考える

杉原千畝はなぜ、日本の外務省に背を向けユダヤ人たちにビザを発給するという行動を起こしたのでしょうか。

「私も何をかくそう一晩中考えた。苦慮、煩悶の挙句、私はついに、人道、博愛精神第一という結論を得た。そして私は何も恐れることなく、ヴィザ発給を決意した。」

杉原千畝はこのように述べています。ここから、杉原千畝は外交官としてのルールを破り、自らの命や地位を危険にさらしながらも、人間の尊厳と命の尊さを最優先したことが分かります。杉原千畝は博愛の精神に基づいて行動し、決まりに縛られずに人々の苦難を救うために勇気ある選択をしました。並大抵のことではないです。人間性として最善の表現であったといえます。杉原千畝の行為は、国籍や人種を超えた真の愛が宿っています。

杉原千畝の行動は、物事の本質を見極め、人道的な理念を貫くことの重要性を示しているといえます。人間はどの国に属していようとも、どの人種であろうともお互いに助け合う責任があるとも捉えられる杉原千畝の行動は、人道主義と博愛の重要性を浮き彫りにします。

杉原千畝のビザ発給から随分立った後、杉原千畝は命を救った多くのユダヤ人達に再会します。ニシュリというユダヤ人は、28年ぶりの再会した1968年、ボロボロになった当時のビザを手にして涙を流して感謝を伝えました。

また、1969年には、難民時代に杉原千畝が助けた、バルハフティク・イスラエル宗教大臣から勲章を受け、1985年にはイスラエル「諸国民の中の正義の人賞」（ヤド・バシェム賞）を受賞します。

これも、ルールに捕らわれずに、自身の頭と心で考え、人として正しい判断をした杉原千畝に対する敬意の表れでしょう。

杉原千畝の精神は今もなお私たちに響き続けています。私たちは杉原千畝の勇気と博愛の精神を称え、杉原千畝のような人道主義を尊敬し、それを守り続ける責任があります。杉原千畝は暗闇の中に光をもたらし、人間性の尊厳を守った英雄と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたか？

杉原千畝の行動は、物事の本質を見極め、人道的な理念を貫くことの重要性を示しています。世の中にはさまざまな規則や制約がありますが、人道的な理念や倫理が最も大切であることを杉原千畝は教えてくれます。

杉原千畝の生涯は、私たちにとって永遠の教訓となり、人間性の尊厳と博愛の精神を称えるべきものです。

過去を踏襲してルールに縛られることなく、ルールの意味や背景を理解し、もっと大きな視点で、その場その場の判断を自分自身で行うことも大切だということを考えさせてくれますね。

日々の生活の中でも、このようなことを私たちも意識していきたいものです。